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ペーパー・ムーンのKotaのレビュー・感想・評価

ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)
4.4
最高にキュートでブラックユーモアで愛おしい。

親を亡くしペテン師に引き取られたアディが、その頭脳と可愛さでさらにお金を儲けながら旅をしていくロードトリップ映画。だんだんとアディの服装が豪華になることで、二人の儲けを表現。CGなどの技法にまったく頼らない人の手で作られた映画。

1930年代不況のアメリカを表現するためにカラー映画が延びる中、敢えてモノクロに創られた作品。主演のライアンとテイタムは実親子(作中では違うという設定)。途中のトリクシーもとてもいい演技をしていたと思う。彼女は「デカパイの私を前に座らせて」とアディを説得する時のセリフを恥ずかしくて拒んだらしく、監督が一度だけと頼み込んだそうだ。その結果があの素晴らしいシーンであり、あのリアルな表情なんだね。この話めっちゃ好き。

ワンカットがあまり流行っていない中、ワンカットシーンがふんだんに使用されている。だからこそ引き込まれる。しかし、役者からするともちろん大関門であり、例えばドライブしながらで5分間会話するシーンはテイタムがセリフを覚えきれず、36回撮影したというし、ホテルのラウンジでライアンがワッフルを食べてるシーンもテイタムがセリフを間違えて、ライアンは合計50枚くらいのワッフルを食べたという撮影秘話が残っている。しかしその結果がテイタムの史上最年少オスカー賞であり、この映画の魅力。モノクロから溢れ出るカラフルな世界。最高。
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