ヤマト

マルチュク青春通りのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

マルチュク青春通り(2004年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 青春道(セーシュンドー)】
 本レビューの見出しは、本作の代名詞となる、あのブルース・リーの截拳道(ジークンドー)に因んでつけたものである。
 失恋や孤独の時に観るべき映画としておすすめしたい作品だ。未来が見えず、愛する(した)人ともうまくいかない孤独なクォン・サンウの演技が心に沁みる。彼がとにかく純粋という点もそれをさらに後押しする。不遇でも生きていく。いや、学校生活を送っていくといった方が本作では正しいな。
 しんみりとした側面だけでないのが本作の魅力。いや、魔力といった方が正しいな。教師による罵詈雑言や体罰は茶飯事で、生徒間の権力争い、喧嘩もしょっちゅう。それらの心と身体への暴力が本当にリアルで、観ていて心が痛む。何というか、観ていて怖い。
 なるほど、姿形は違えども、そういう激動な中を生きてゆくのが青春なのか。少なくともマルチュクではそうであった。
 そう考えると、姿形は違えども何も青春とは、学園の中だけのものではないことが分かる。恋して喜び悲しんで、バカをやる。ちょうどラストシーンのブルース・リーとジャッキー・チェンに扮したバトルのように。要するにバカをすることが青春であり、それを“通る”のが人間が生きるということなのかもしれない。これが、截拳道(ジークンドー)ならぬ、青春道(セーシュンドー)である。
 繰り返しになるが、クォン・サンウの“好青年っぷり”が本当に良かった。定期的に観て心を洗いたい。そしてマルチュクの青春道を味わいたい。
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