安堵霊タラコフスキー

ラ・ヴァレの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ラ・ヴァレ(1972年製作の映画)
3.5
モアを見たときも思ったけど、この監督とはおそらく感性が微妙に合わなくて、それ故にやきもきする。

まず良い点としてはフレンチヒッピーという題材に物珍しいものがあり、加えて彼らとニューギニアの原住民の交流をドキュメンタリー的に捉えた点も良く、こういうありのままの姿を撮る姿勢はリュミエールやフラハティの映画を髣髴とさせるものがあって、こういうシーンが映画の大半を占めていたら最高だったのにと思うと勿体無くも感じられた。

しかしモアがそうだったように、自然の中にいても人物描写が多いためそこまで美しい映像があったように思えず、原住民が関わるシーン以外で挙げられるならヒロインが蛇と戯れるシーンとかくらいは多少印象に残りはしたけどその程度で、ニューギニアという土地を最大限に活かし切れてなかったよう思えた。

というかロメールやトリュフォーらの作品で良い働きをしたネストール・アルメンドロスの映像が魅力に乏しく思えたのは、これ以前にもうその手腕を発揮していたことを考えるとシーン構成自体に問題があるとしか思えず、アルメンドロスに目をつけた点は褒められるけどどうも持て余していた感は否めなかった。