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裏窓のYYamadaのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.8
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
裏窓 (1954)
◆サスペンスの要素:
・事件の真相解明

〈本作の粗筋〉
・カメラマンのジェフは足を骨折。ニューヨークのアパートで療養中で、身動きの取れない彼は、退屈しのぎに窓から見える中庭と向いのアパートの住人たちを眺めていると、セールスマンの夫と激しい口論をしていた病床の妻の姿が見えなくなった事に気づく。
・セールスマンの様子を窺う内に、ジェフはその男が女房を殺したのではないかと推測、恋人のリザと看護人ステラの協力を得て調査を始めるのだが…。

〈見処〉
①ヒッチコックの最高傑作は、
 ワン・シチュエーション・サスペンス!
・『裏窓』(原題: Rear Window)は、1954年に製作されたサスペンス映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、出演はジェームズ・ステュアートとグレース・ケリー。
・恒例のヒッチコックのカメオ出演は、隣のアパート最上階の作曲家の部屋に登場。ピアノの横で時計のネジを巻いている。
・カメラマンのジェフがアパートの裏窓から目撃した事件の顛末を描いた本作は、全編にわたってカメラが彼の部屋から出ない。鑑賞者に対して、まるでスクリーンが裏窓となっているような錯覚を与える構成は多くの批評家に絶賛され、アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が選出した「アメリカ映画ベスト100」では42位にランクインした、ヒッチコック監督の代表作の一つである。

②巨大セットの撮影
・本作の撮影には、主人公とアパートの住人たちが、彼らの生活風景を一斉に演じ、窓の外に見える人やその角度、自動車の通過タイミングなど、全てが計算された細かい設定が必要となるため、実在のアパートによるロケーションは行わず「全編スタジオセット撮影」が採用された。
・グリニッジ・ビレッジの街並みを参考に、50人もの作業員が6週間かけてパラマウント・スタジオに作り上げたアパートメントと中庭による前代未聞の巨大セットは、「高さ」を確保するため、スタジオの床を外し、地下スペースをも加えて建造。雨降りシーンのための排水設備もあり、朝・昼・夕方・夜の4段階の照明も完備。
・また、アパートには31もの部屋を擁し、調度品を備えたそれぞれの部屋で、肌色のイヤフォンを装着したキャストが監督の指示に合わせて、一斉に日々の生活場面を演じた。
・まるで一つの街のようなの、かつてない壮観なセットを一目見ようと、撮影所には国内外から見学者が絶えなかったとも言われる。

③結び…本作の見処は?
サスペンス映画ファン必見の作品。
◎:「覗かれる住民」を「覗く主人公」を「さらに覗く鑑賞者」の三段構図による、他作品にはない設定が特徴的。「視覚」のみならず、会話や雑音の「聴覚」までも計算されつくしたリアリティーが高い緻密な演出は、70年近く前の作品とは思えない。
○:「クールビューティー」当時24歳でモナコ公妃となる2年前のグレース・ケリーの美貌と、普段着とは思えないエレガントな服装を見るだけでも、元が取れる作品。
▲: 犯行場面の描写がない断片的な判断でストーリーが進行。普通に考えれば「覗く主人公」こそが犯罪者。
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