櫻イミト

のんき大将の櫻イミトのレビュー・感想・評価

のんき大将(1949年製作の映画)
3.5
十八日間でこの映画を作った。大衆的に成功した。お陰でメキシコで映画を撮り続けていけるようになったのだ――ルイス・ブニュエル

ブニュエル監督が初期3部作から十数年の時を経て手掛けたメキシコ時代第二作目。大ヒットした人情コメディ。原題「El gran Calavera(偉大な頭蓋骨)」。

妻を亡くした悲しみから酒浸りになった百万長者ラザロは倒れてしまう。家族は彼を何とか立ち直らせようと、友人の医者と相談して一芝居打つ。彼が眠っているうちに下町のアパートに運び込み「破産したから家族で一生懸命働こう」と嘘をついて地道な生活を始めたのだ。ところが。。。

コメディは苦手なのだが本作は楽しめた。そもそもブニュエルの映画には皮肉やナンセンスが散りばめられていて個人的にはツボに入ることが多い。エッジのきいた悪口や毒舌セリフにニヤリとしてしまう。ハリウッド型コメディを短期で作り上げてしまうブニュエルの研究心と才能が伝わってくる一本。

※「のんき大将」という邦題について。同年のジャック・タチ監督長編デビュー作「のんき大将脱線の巻」(1949)との関連性が気になるのだがネットで調べても情報がなく不明。
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