Jeffrey

肉体の遺産のJeffreyのレビュー・感想・評価

肉体の遺産(1959年製作の映画)
3.8
「肉体の遺産」

冒頭、 アメリカ南部。ここはテキサス。荒野の林の中、野鴨を待つ狩人、17歳の息子、使用人、訓練、大イノシシ退治、獲物、拒絶、腹違いの兄弟、綿加工場、子供、結婚。今、父と息子、男と女の愛と憎しみが映し出される…本作はウィリアム・ハンフリーの小説をヴィンセント・ミネリが映画化した米国南部の旧家を舞台に描いた人間ドラマでこの度、復刻シネマライブラリーから初円盤化されて初鑑賞したが傑作だ。やはりハリエット・フランク・ジュニアとアーヴィング・ラヴェッチの脚色は最高やな。それと主演のロバート・ミッチャムは最強や。




さて、物語は女遊びをしてきた一家の大黒柱の男が、拳銃で撃たれる。彼は街の住人から恨まれている。それは身勝手な男の末路でもある。彼は新婚早々、素性の知れぬ女との間に子供をつくる。やがて子供は成長し、実の息子と同じ女性を争うようになる…。


本作は冒頭に広大な大地が映し出されるファースト・ショットで始まる(壮大な音楽と共に)。そしてカメラはゆっくりとスライドし、茂みに隠れる数人の男と犬を映し出す。空には鳥が飛び、その鳴き声が聞こえる。男たちは猟銃を構える…と途端に一発の銃声が聞こえる。狩り仲間の男性が何者かによって撃たれた。狼狽しながら男たちは彼の応急処置をする。撃たれた男は誰の仕業だと聞く。そして仲間が拳銃で撃った男を見つける。そしてお前は誰だと問い詰める。

どうやらその男は女房に近づいたことにより撃ったらしい。そして男は解放され去っていく。撃たれた(テキサスで広大な土地を所有するウェード・ハニカットと言う人物)男は酒でも飲んで医者に診てもらうと言い、担ぎ込まれていく。カットが変わり、テキサスの田舎町の小さな病院で手当てをしてもらう。 医者はこの村は危険だから女漁りなどするなと忠告する。続いて仲間と車に乗ってタバコをふかしながら会話する描写へと変わる。

彼は自宅まで送ってもらう。そして家の中に入り、人の名前を呼ぶ。そうするとハンナと言う女性が現れる。どうやら彼の奥さんらしい。彼女は亭主の怪我してる姿を見ても動じず普通に対応する。彼女はいたずら電話が3件あったと話す。そしてなぜ撃たれたかを彼女に話す(嘘の話)。続いて、17歳の息子セロンが街を徘徊するシーンへと変わる。そこに6人の父親のお仲間らしき男が彼について言及する。

そしてセロンに声をかけ、彼はその場にしゃがみ男らと話をする。そして成り行きで彼も6人と同伴で、猪狩りに同行することになる。カメラは真夜中の森を捉え、そこに連中が現れる。男たちは息子に笛を渡し、吹かせ彼らはセロンをその場に置いて車で立ち去ってしまう。続いて彼らは息子が戻ってくるのが遅いといい、改めて見に行く(その時、息子の父親も一緒に迎えに行く)。


そして父親は息子に対して、お前は担がれたんだと言う。息子は僕は本当にバカだと落ち込む。続いて、邸宅の描写へと変わる。息子は慌てて2階に上がり、服を脱ぎベッドに座り落ち込んだまま。父親は悔しいかと聞く。彼はあんな子供騙しに騙されるなんてと後悔する。そうして2人の会話が始まる。父親は息子に忍耐力などを鍛えるために狩りを猛特訓しろと言う。そして戸棚から拳銃を取れと言い、彼の能力を試す。父は暖炉に向かって拳銃を撃ってみろと言い、彼は家の中で?と言いつつも、試しに射撃する。その音に驚き家族がみんなリビングに集まる。

(ここでは、重要な物事が判明するためネタバレにならないように言及はしない)。

続いて、使用人のレイフと父親と3人で山に狩りの練習をしに来た息子が射撃の練習をしている。途中で土砂降りの雨に遭い、2人は木の上に登り一休みしつつ会話をする。カットは変わり、自宅で黒人の使用人が食事の用意をしている。そこに息子の姿がある。そしてテーブルに座り、母親を交えて3人で食事をする。ここで様々な話が始まる。

そして父親は息子に対して、巨大猪の仕留め方を丁寧に伝える。そして3匹の犬を連れて彼はレイフと夜更けこ森へと行く。カットは変わり、日中の森の中で3匹の犬が血相をかいて走る方向へ2人も走りながら獲物を探す。そうすると犬の1匹が何者かに攻撃され死んでいる。そうするともう1匹瀕死の状態で見つかる。ところ変わって、自宅のパーティーと変わり、そこに1人のリビーと言う娘に好意を抱くセロンの姿がある。

彼はパーティー終わりにリビーに花束を持ち、彼女の自宅へと行くが、リビーの父親が彼を拒絶し追い払う。何も答えてくれない彼女に絶望する彼は道端に花束を捨てて自宅へ戻る(そして様々な事柄が起きてセロンはもう一度リビーと会話する場面へとこぎつける)。カットが変わり、人々がお墓の落ち葉拾いなどをする場面へと変わる。そして使用人のレイフと奥様が会話する場面へと変わる。彼は自分の母親が亡くなった石碑について語る。

続いて、レイフが森を散策している、セロンとリビーがピクニック気分でコーヒーを飲みながら休憩している場面へと遭遇する。彼はそこに座り3人で世間話をする。そしてカットが変わり、セロンが母親の自宅へと戻り、好きになった女の子の父親に毛嫌いされていることを話す。そしてここで重大な真実が明らかになる。

そうして、父親の秘密、父と息子の関係、男と女の出来事、渦巻くこの街での問題事が浮き彫りになり、家族の愛憎劇が始まる…と簡単に説明するとこんな感じで、ミネリの傑作だ。


この映画はラスト10分がとんでもなく緊迫感に満ちている。クライマックスの森のあの幻想的な演出はマジでヴィンセント・ミネリの天才ぶりが発揮されていると思う。それにカメラのなめらかな動き方がたまらなくかっこいい。 1960年代の映画の中でもダントツに面白い1本なんじゃないかな。
あまり深く言及してしまうと、重要なネタバレになってしまうので、あまりこの作品についての感想は書けないが、なかなか衝撃的な終わり方だった。
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