ぐう

こんばんはのぐうのレビュー・感想・評価

こんばんは(2003年製作の映画)
4.0
教職演習で視聴。東京の文花中学校では夜間中学が設置されており、そこには中学校に行けなかった10代から90代の多国籍の生徒が集まり日々勉強を行う。

いつになっても学ばないと、向上心がないと、と身につまされる内容。何か目標を持つことはやる気に繋がる。70代の方が移動学習で山に登れなかったから、とバス通学から徒歩通学に変えた場面。自分の人生、いつ終わるか分からないけど死ぬまでやりたいことをやる、頑張る意欲を失わないのは見習わなあかん。定時制の高校は身近にあるけど、夜間中学の様子は知ることがなかったので、興味深かった。
あの指導はどうなのかなーとか、90代の方が運動会で転んだときは「あっ」と思ったり、17年前の学校だから前時代的な側面もあるのだけど、夜間だからこその授業風景は惹きつけられるものがあった。
おじいちゃんおばあちゃんがいるBクラスの授業はある意味授業らしくない。賑やかで、生徒の声がよく聞こえる。教師が静かにしなさいと諌めることもなく、お互いに問いかけたり笑い合ったり。ただ、授業内容からは脱線せず、内容の中で楽しんでいる。これは昼間普通に通う女子中学生が夜間の授業に参加する場面でも「楽しかった、昼間はみんな真面目だけど…」と言っているように、基本的な学校の概念を知っていると驚くと思う。
本来こうあるべきなんじゃないかなあ。教師が話し、生徒が静かに聞く。授業は大体こうだ。生徒は自分自身を「抑圧」している。笑いたいときに笑いづらいし、発言するときに声を上げづらい。それは周りと同じでないといけない、という視線や意識を持っているから。暗黙の了解であり、スクールカーストを少なからず念頭において生きる生徒ならでは。夜間中学にはそれがない。50代だろうが60代だろうが70代、90代であっても皆対等な立場。何かを気にすることなく、言いたいことを言う、学ぶ者は皆仲間だ、そういう雰囲気を感じた。歳食って面の皮が厚くなる、何も気にしなくなるってのもあるだろうけどね。生きた授業を見てるなあーという気持ちになる。

そこに放り込まれた伸一くん。小5から学校に行かなくなり、親以外と話さなくなった。祖父母と孫くらい年の差のあるクラスに入れば気を使わずに済むだろうという学校の配慮でBクラスへ。しかし、なかなか声を出さない。反応がない、給食の時間も一緒に食べないし、行事にも参加しない。でもそれで文句を言ったり苛々するような人はいない。辛抱強く見守る、声をかける教師と妙齢の方々の優しさは泣きそうになった。その場面に嫌味や押し付けがましさは一切ない。無理やり何かをする必要はないんだよね。

90分なんで授業時間内に終わるかなと思ったけど伸一くんの大事な場面の後チャイムが鳴り、、その後どうなるんだろう。あと10分くらいだろうから消化不良です。笑
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