ハニルくん

明日、君がいないのハニルくんのレビュー・感想・評価

明日、君がいない(2006年製作の映画)
3.1
オーストラリア映画。『明日、君がいない』という邦題がより内容にあっている。時間が題名のドキュメンタリー風高校学園モノということで、米国の高校での銃乱射事件を描いた2003年の映画『Elephant』を思い出したし、実際オマージュ作のようで、同じ場面を別の学生視点で繰り返して描く方法などがそっくり。それで前知識ゼロで見たので、てっきり2:37に、事件も同じことが起こるのだろうと思ってしまった。『Elephant』が子供たちの自然な日常を描いてそれがすべて破壊されるという流れだったとしたら、これは西洋社会のティーン・エイジャーたちが抱える深刻な問題をオムニバスで描いて、その中の一つとして、その日の2時37分に起こった大きな事件で終わる。たしかに結果としては一番分かりやすく大きな事件ではあるが、しかし、それ以前に描かれた子供たちのそれぞれの問題のほうが深刻過ぎて、はっきりいって同程度か、あるいはラストの問題以上に深刻であると思えてしまい、それゆえその事件の後にその子らがいったいどうなったのかのほうが重要に感じられた。ある意味、西洋の本当に深刻な問題を描いたものであり、それらがすべて深刻ではあっても、この物語の上ではメインの事件の「それ以外の日常」のようになり得るという事実が、日本人からみて一番の衝撃であった。