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乙女ごころ三人姉妹のかのレビュー・感想・評価

乙女ごころ三人姉妹(1935年製作の映画)
4.1
成瀬のトーキー第一作らしい。サイレント映画的表現が随所に入り混じっていて面白い。完全にサイレントシーンもある。

特にアンパンのくだり。アンパンのくだりはかなり爽やかで面白かった。ストーリーと直接関係ないのが良い。

長女はサイレント映画的なメイクと顔。三女はモダンな顔と化粧。次女は踊り子らしい白塗りで、三姉妹の顔が全然違うのがチグハグしていて面白い。

ゆっくりピントが外れていって回想シーンに行く分かりやすさ!回想シーンの回想シーンなんてものも出てきてとても楽しい。

殺しのシーン、一階の宴会場の演奏と二階の揉み合いがクロスカッティングするシーンなんかもあるが、それが微妙に上手くなくてちょっと可笑しい。

カット点後に振り向きざまにしゃべるという、成瀬特有のスタイルもこの映画で既に出ている。光で語ろうとする場面もある。すばらしい。

女性がたくさん出てきて暗い結末の中に華やかなさも盛り込まれていて、なかなか良い作品でした。エピソード紹介的なシーンが続き、線的な流れがあるようなにいような、構成は多少だけ散文的かもしれない。

あの船でもらった薬はなんだったんだ?
か