ししまる

大統領の陰謀のししまるのレビュー・感想・評価

大統領の陰謀(1976年製作の映画)
3.8
ウォーターゲート事件の真相を突き止め、ニクソン大統領を失脚させた二人のワシントン・ポスト記者カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの活躍を描く。
何度も鑑賞している作品。1972年6月の事件発生から74年8月のニクソン大統領辞任までに限っても2年以上かかっているが、本作はごく初期に焦点を当てている。新聞記者が主人公なので、政府側の動きは描かれず、あくまで新聞社が舞台となっていて、ネットも携帯もない時代、文字通り足で稼ぐ取材の過程が面白い。何より、若き名優たちの演技に冒頭から引き込まれる。
事件後まもなく、こそ泥の仕業として国民の関心が薄れ、他の報道機関も撤退する中、ワシントン・ポストだけが地道に追い続けた経緯がよく分かる。ただ事件自体は背景が入り組んでいて関係者多数だし、余波も複雑なので、予備知識なしだとすんなりと理解するのは難しい。
✅メモ
原題「All the President's Men」。記者二人の手記に基づいている。第49回アカデミー賞で8部門ノミネート、脚色賞、助演男優賞(ベン・ブラッドリーを演じたジェイソン・ロバーズ)など4部門で受賞。
時系列的には「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」(2017)の続きに当たる。本作で記者の情報源となったディープ・スロートの正体は長らく明かされていなかった(ニクソン側は早い段階で気づいていた)が、当時FBI副長官だったマーク・フェルトが2005年5月に自ら名乗り出た。そのディープ・スロートからウォーターゲート事件を描いたのが「ザ・シークレットマン」(2017)。
ウッドワードが会いたいと意思表示する時は自宅アパートのベランダの植木鉢を奥に引っ込めることが合図(劇中では赤旗を立てる)で、フェルトがどう見張って確認したのか当時は分からず、後にウッドワードはフェルトに聞こうとしたが既にフェルトは認知症が進み謎のままとなった。
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