リコ

ウィークエンド・ラブのリコのレビュー・感想・評価

ウィークエンド・ラブ(1973年製作の映画)
4.5
子持ちシングルで皮肉屋の典型的イギリス女と、妻子持ち軽薄マッチョな典型的アメリカ男が、ひょんなことから出会い、割り切ったスマートな不倫関係を楽しもうとする。
雨のロンドンでのタクシーの相乗り、会社経費でマラガにアバンチュール、中華街に借りた部屋(をわざわざ改装して)で逢い引き。はしゃぎすぎてエスカレートするうちに、やはり関係はこじれてきて…。

「マラー/サド」他のラジカルな映画で知られるグレンダ・ジャクソン。二枚目半三枚目寄りなジョージ・シーガル。共に70年代に売れっ子だった二人のコンビネーションが楽しい。
いや、コンビネーションなんて上品なものではなく、早口と皮肉の応酬、時には取っ組み合い(からの、なだれ込みセックス)までやってのける!

これでアカデミー主演女優賞まで獲ってしまったグレンダの、クールで、どこかいじらしいヒロインぶりが最高。ケン・ラッセル映画での凄まじいキレッぷりが印象的だったけど、コメディエンヌとしても一流だ。お洒落な70'sスタイリングもさすがにキマッてる。

対するジョージ・シーガル。この映画ではいかにも軽薄で優柔不断でズルくて自分に甘い、要するに男の嫌な習性を全て持ち合わせた野郎だけど、それが嫌味にならない、宙返り的演技。彼のベストアクトのひとつであろう。

こういう映画の常として、やがて本気の恋となったばかりに苦い結末を迎えるのだけど、二人の演技や、素晴らしいダイアログ、70sの香気が漂うサントラのおかげで、ずっと何回でも見てしまう。
世界映画史には残らないかもしれないけれど、私の映画史には間違いなく金字塔として残るだろう。
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