垂直落下式サミング

学校の怪談の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

学校の怪談(1995年製作の映画)
3.5
1990年代に流行した『学校の怪談』ですが、映画版もいくつも続編が作られている人気シリーズだ。
ドラマにもなってJホラーの作家たちが手腕を発揮したことで有名だし、池野めだかさんの『学校の怪談R』もレンタルビデオで何話かみた記憶がある。
アニメになったやつも好きで、お姉ちゃんと一緒にみていた。子供向けアニメなのに女の子キャラが萌え絵に近くて、その子たちがやたらパンチラしたことを覚えているけど、その時は剥ける気配もない頃なので(結果完全に剥けはしないのですが)、ぜんぜんエッチなことは感じず、怖くて誰かの背中越しに隠れながらみた記憶が残っている。
私にとってかなり特別なシリーズだ。というのも、本作で撮されているものが子供時代に見えていた世界にかなり近いもので、今はもう見えない、その時にしか見えていなかったものだと感じるからである。
中学生くらいに見返したときですら、「懐かしい」と感じるのと同時に、「自分にはもう世界がこういうふうに見えていない」という喪失感のほうが大きかった。その時は単に小生意気なノスタルジーだと思ったけど、今みると理由がハッキリとわかる。
カメラの位置が低い。多くのシーンを床から125㎝か、それより下で撮っている。これは子供の背丈だ。小学校低学年くらいか。子供が主人公ということもあってか、大人のシーン以外は基本的にこの高さから動かないので、観客は常に子供たちと同じ目線を共有することになる。
子供のための映画だ。ここまで子供だましに徹してくれた映画にお礼が言いたい。ここにしか残っていないものを感じていたくて、まだまだ手放すことができない作品だと思う。
子供たちのセリフ回しは当時としてもかなりアレ。もう既に僕の生涯賃金を稼ぎ終えた芦田愛菜大先生の力量は、まさしくレジェンドに相応しいものだということを逆説的に確認することができる。