千年女優

魔人ドラキュラの千年女優のレビュー・感想・評価

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)
4.0
トランシルヴァニアに住まう悪名高い貴族で、移住のためにイギリス人弁護士のレンフィールドを城へと招いたドラキュラ伯爵。その正体は伝説として言い伝えられる吸血鬼でまんまとレンフィールドを手下にしてイギリスへ渡った彼が、社交界へと潜入してセワード博士一家へと近づいて愛娘たちを食い物にする様を描いた吸血鬼ホラーです。

ユニバーサルが本格的ホラー映画を目指して制作したアイルランド人作家ブラム・ストーカーの古典ホラー小説『吸血鬼ドラキュラ 』の初めての正規映画化作品で、トッド・ブラウニングとカール・フロイントが主演を演じたベラ・ルゴシを盛り立てて1931年に公開すると世界中で大ヒットを記録。後年まで続くホラー映画の古典になりました。

映像加工もなければキャラクターの性質上派手な仕掛けも用い辛い物語ですが、白塗りのメイクを施されたベラ・ルゴシが見事な演技で空想上の魔人をスクリーンの中に召喚します。終幕は些か性急ではあるものの80分弱でコンパクトでまとめられた物語はテンポがよく、忍び寄る「狡猾」さで隣人怖いスリラーとしても申し分のない一作です。
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