Azuという名のブシェミ夫人

ペダル・ドゥースのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

ペダル・ドゥース(1995年製作の映画)
3.9
みなさんスターウォーズで盛り上がっている中、全然関係ない映画を。
これだって宇宙の片隅の一部だ。←

ビジネスマンのアドリアン、実はゲイである。
大きな取引を控えた顧客のアレクサンドルから奥さん同伴で・・・と食事会に誘われ、ゲイであることを隠すためつい妻子持ちであると嘘をつく。
そこで親友であるゲイクラブのオーナー・エヴァに妻のフリをしてもらうことに。
しかし、既婚者アレクサンドルがエヴァに惚れてしまったから、妻やゲイ達を巻き込んで事態はこじれていく。

フランスらしい味付けのコメディで、笑わせてもらった。
勘違いが連鎖反応して、また勘違いを生む。
お互いが違った話をしているのに、何故か上手いこと噛み合ってしまって会話が成立してしまう。
当人同士は困惑するが、観ている方はニヤニヤである。
勘違いしまくっちゃうアレクサンドルの妻が可哀相だけれど面白い。テクニックの練習とか不意打ちで吹いた。

コミカルな部分が殆どだけれど、ゲイであることで感じている孤独感だったり、自由気ままに見えるエヴァの隠された弱さと女心を、はたまたストレートの夫婦間のわだかまりなどを描いていて、実は結構人間心理に深い。
整形外科医が出てくるのは、人間たちの取り繕われた“表向きの貌”と秘められた“内なる真実の貌”とを象徴しているのかな。
どんなに近しいと思っている関係でも、本当の姿を曝け出すのは誰だって勇気のいることだもんね。

先日観た『歓楽通り』でパトリック・ティムシットが良い感じの役者さんだったので、今作を観るキッカケとなった。
主人公アドリアンをユニークに、時には切なく演じていて、今作でもとても良かった!
普通の冴えないおじさんって感じなのに、化粧してカツラ被ったらそれなりになってたのがちょっと面白い。
そして私が何気に好きなジャック・ガンブランが出ているとは知らなかったので嬉しかった。
みるみるゲイにしか見えなくなってくる眼付き、次第にはじけるダンスが可愛い。
そしてファニー・アルダンがカッコイイ女で、なんだかあのゲイクラブに行ってみたくなるよね。

ゲイもノンケも、みんながみーーんな愛おしくて好きになっちゃった♡
大団円に持ってく感じが強引だけど、楽しかったし全員幸せそうだから万事OK!

さぁ一緒に歌おう。
♪内緒で教えてあげる♪
♪選ぶなら私は絶対 男の子♪