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若き日のリンカンのokawaraのレビュー・感想・評価

若き日のリンカン(1939年製作の映画)
4.0
フォンダが被告人の家族と向かい合うとき、カメラはたびたび180度の規則を破り、彼らの交流を意図的に断とうとする。被告人の命を救うのはその妻がフォンダに手渡した暦だが、そうした劇的な瞬間に際してもカメラは当の妻を積極的に収めようとはせず、フォンダを荒天のなかへ送り出して映画を終える。
あたかもこの世に存在していないかのように映し出される家族に、いまは亡き家族の幻影を見出すフォンダのたたずまいが、なんともいえぬ悲劇性を湛えていて素晴らしい。
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