Mikiyoshi1986

悦楽共犯者のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

悦楽共犯者(1996年製作の映画)
4.0
本日9月4日は敬愛するチェコの奇才ヤン・シュヴァンクマイエル監督のお誕生日です。
ヤン様83歳おめでとう!

本作「悦楽共犯者」は「アリス」「ファウスト」に続く彼の長編映画3作目に当たり、
6人の登場人物がそれぞれの変態性癖を如何に人知れず愉しむかをシュールレアリスティックに描きます。

その6人はエンドロールの"快楽の達人"にもクレジットされている6名(サド、マゾッホ、ブニュエル、エルンスト、フロイト、ブルーク)に準えており、
不条理にまみれた欲望のオブセッションに突き動かされ、異端的な快楽の倒錯を背負って生きなければならなかった偉人(?)たちを軽妙にオマージュ。

構想に25年を費やした本作は、検閲の厳しかったチェコスロバキア時代の社会主義体制下ではもちろん制作などできるはずもなく、
1993年にチェコが民主化した3年後、1996年に晴れて公開へと漕ぎ着くことが出来たのです。

そして6人の中には郵便配達員、女子アナ、警察が登場します。
郵便配達員はかつての郵便検閲、女子アナはかつての報道機関による言論統制、警察はかつて反逆分子を密告で取り締まった秘密警察をそれぞれ象徴しており、
こうして当局・体制側だった者たちをフェティシズムの仲間にすることは、民主化した喜びと自由を手に入れた現在のチェコを暗に示唆していたりもするのです。
今や変態すら平等、持ちつ持たれつの社会ってね。

ところで、怪鳥男が椅子に縛りつけたマダム人形をあの手この手で脅かすくだり。
何年か前、チュートリアルのコンビが似たような変態シュールコントをお笑い特番で披露してたんですよね。
偶然なのか本作を参考にしたのかはさておき、どちらにせよ徳井は相当な変態ということでマジでリスペクトしてます。

ヤン様はどうかいつまでもお元気で、ずっと創作活動していていただきたいものです。
とりあえずは来年公開予定の引退作「虫」が待ち遠しい!

追記:チュートリアルの例のコント映像を見つけたので、一応参考資料として貼っておきます。
http://youtu.be/mHRcZ9zuIVI
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