ShinMakita

制覇のShinMakitaのレビュー・感想・評価

制覇(1982年製作の映画)
1.8
大阪のクラブ「フラミンゴ」で銃撃事件が発生。撃たれたのは、構成員15000人の日本最大の暴力団「谷口組」3代目組長・田所政雄である。浪華医大病院に搬送された田所は一命を取り留め、妻・ヒロコ、長女・悠子は安堵する。そして若頭・河上と若頭補佐・権野の指揮で犯人探しが始まった。警察情報から、発砲したのが酒田組系〈浪華殉国団〉の近江友記と割れると、組員らが血眼になり近江を追いながら、酒田組への報復戦を開始する。退院した田所は、アパレル会社社長の長男・孝と妻・冬子、そして孫の見舞いで元気を取り戻すが、その矢先、孝が私文書偽造と詐欺罪で逮捕されてしまう。冬子が迂闊に印鑑を貸したことが原因の誤認逮捕だったが、警察は谷口組壊滅の足掛かりにしようとこの逮捕を利用。冬子は責任を感じて睡眠薬自殺を図ってしまう…



「制覇」


中盤までは組長が撃たれて抗争勃発、という定番のヤクザ映画でありながら、手触りが全然違う話。ヤクザも人間というちょっと反社賛美的匂いもあるけど、抗争の陰で話題にも記事にもならない犠牲者に対する鎮魂歌でもあり、中島貞夫テイストと女性目線の脚本が効いてるなぁと思います。

後半は、河上(菅原文太)VS権野(若山冨三郎)の跡目争いというこれまたよくある話。その中で、新聞記者・山田に利用される悠子の悲しみも描かれていて、岡田茉莉子&中井貴恵の母娘ドラマという一面も見られます。極妻の先駆けとも言える東映の新たなフォーマット映画ですよね。ゴッドファーザーでもグッドフェローズでもなく、日本独特のホームドラマ的ヤクザ映画として特異な魅力を放つ一本。そして清水健太郎がちょっと愛おしくなる一本。
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