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フロム・ダスク・ティル・ドーンのkuuのレビュー・感想・評価

3.9
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』
原題 From Dusk Till Dawn.
製作年 1996年。上映時間 108分。
ロバート・ロドリゲスが監督、クエンティン・タランティーノが脚本を手がけ、逃亡中の2人組凶悪犯と人質の牧師一家が吸血鬼たちと死闘を繰り広げる姿を描いたハチャメチャアクションスリラー。
ゲッコー兄弟をジョージ・クルーニーとタランティーノが演じ(クエンティン・タランティーノはもともと映画を監督する予定やったが、脚本とリチャード・ゲッコーとしての役割に集中できるように、監督しないことにしたそうです)、ハーベイ・カイテル、ジュリエット・ルイス、サルマ・ハエック(エスメラルダのダンスは鼻血モノで変身後は、、、)、ダニー・トレホ(まだ顔が崩れてないし男前で変身後は今のまんまやん)が共演。

アメリカ各地で銀行強盗や殺人を繰り広げたセス&リチャードのゲッコー兄弟は、メキシコ国境を目指して逃亡を続けていた。
道中で元牧師のフラーとその家族を人質に取り、彼らを隠れ蓑に国境を超えることに成功。
仲間と落ち合う予定の酒場ティティ・ツイスターにたどり着くが、そこは恐ろしい吸血鬼たちの巣窟だった。

今作品は実にハチャメチャ。
ドラマ版『フロム・ダスク・ティル・ドーン』をネトフリで見始めたので、復習がてら映画版を再視聴。
だけど、改めて見ても、個人的にはド嵌まりしました。
彼らはバンを盗み家族を人質に取りメキシコへ向かう。
メキシコに到着しティティ・ツイスターズというバーに着くと、そのバーでは全員がヴァンパイアであることがわかり、大混乱に陥る。
入場ゲートにチーチ・マリンが前口上してたが、今作品では1人で全く違う登場人物3役も演じている。元々ロドリゲスが『チーチ&チョン スモーキング作戦』(1978年)のファンで友人同士なので、人を見たらチーチ・マリンと思えというギャグからそないな役割を与えたそうな。
まぁ、バーからは血の風呂と化し、毎秒ゴアとバイオレンスが繰り広げられるってモノでした。
何の話かと忘れる物語には、正直、嫌悪感覚えるけど、不思議と今作品にはそないな事抜きにできて見れる魅力があった。
今作品には、多くの有名な俳優が出演してた。
出演依頼をよく承諾したなぁと驚く。
失礼ながら、ハーヴェイ・カイテルやジュリエット・ルイス(彼女は音楽活動もしてて、そのジャンルはパンクロックやしあながち本人の意思かもって感じはするが)は本当にこんな映画に出演するんやろか。
騙されて出演したんちゃうかな笑。
また、ジョージ・クルーニーをこの映画で最もタフな役柄に起用したのは、本当に度胸のある行動やと思うし、役に嵌まってる。
当時、彼はまだ大ヒット医療ドラマ『ER 緊急救命室』のようなエエ奴のイメージやったはず。今作品以降、『バットマン&ロビン』、『ピースメーカー』、『スリーキングス』といった大作映画に出演するようになったのは、ある意味転機やったんやろな。
ストーリーは、独自のひねくれたやり方で、完全にオリジナル。
映画の前半は、2人の兄弟が逃亡する犯罪映画(ロードムービー)のように見える。
しかし、メキシコのバー『ティティ・ツイスター』に入った瞬間から愚ルン俱るん回転してバレルロール仕様に。
今作品は、型から外した状態で非常にグロく、滑稽なヴァンパイア映画展開になる。
基本的にすべてのB級ホラー愛好家にとって究極と云える展開かな。
ロバート・ロドリゲスやクエンティン・タランティーノもその一人である。
クエンティン・タランティーノはこの映画に『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』で大成功していたし、ロバート・ロドリゲスも『デスペラード』で大ブレイクしたばかりで、わざわざこの映画を作る必要はなかったはず。
彼らは本当に作りたかったから、この映画を作ったんやろな。
何ちゅうても今作品にはイカしたキャラが登場し、脚本には名・迷セリフがあり、素晴らしいユーモアもある。
タランティーノの典型的な台詞というわけやないけど、違った意味で良かった。
彼は明らかに、この映画を楽しんで書いてるし、演者も楽しんでるよう。
しかし、この映画はもちろんロドリゲスの映画であり、彼の典型的なメキシカンスタイルで作られてたし、それは彼の以前の映画『エル・マリアッチ』や『デスペラード』と一貫している。
今作品は意図的にシンプルでバカバカしいものに仕上げられてはいるが、そのお陰で、嵌まれば面白さが倍増してるし(逆も然り)、今まで観た映画の中で最も楽しい作品のひとつです。
クエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスといった一流俳優が参加しており、立派なキャストが揃っていて、何より役になりきっている。
また、彼らのほとんどは、この映画を楽しむために出演しているようで、それがスクリーンに如実に表れてた。
それが、この映画をうまく機能させ、見るものをより楽しませてくれるんやろな。
ダニー・トレホやチーチ・マリンといった俳優ももちろん登場し、ロバート・ロドリゲス作品の常として、サルマ・ハエックのカメオ出演はすでにある種のクラシックであり、フリークは水前寺公園じゃない垂涎モノ。
しかし、今作品の、特殊効果やメイクアップは幼稚とまでは云わないまでも、優れているわけではなく、ただ、細かい部分はとてもよくできてました。
まぁ、これはロバート・ロドリゲス映画の常で、彼の他の映画やスタイルと調和していました。
それは大げさで、明らかに意図的な方法で行われているので、血みどろの描写がこの映画のユーモラスな側面の1つになっているし生々しい内容でした。
万人向けではないことは明らかだけど嵌まればド嵌まり作品になる可能性大の作品やと思います。
続編もタイミングあったときに見たいかな。
今作品の主題歌とも云うノリノリメキシカンTito & Tarantulaの『Angry Cockroaches』は映画にバッチリ。
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