滝和也

殺人者の滝和也のレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
3.6
田舎町に二人の
殺し屋がやってくる…

ターゲットにされた
男はあっさり殺された。
まるで覚悟していた
かのように…?
果たしてそれは何故か。

「殺人者」

らせん階段でホラー的なサスペンスを見事に描いたロバート・シオドマク監督のフィルムノワールの佳作。若きバート・ランカスターがキーマンとして出演、あっと言う間に殺されちゃいますが…その男が何故殺されなければならなかったのかを追うオプ(保険調査員)の活躍を描くミステリーサスペンスです。

現代からこの作品を見ると…バート・ランカスターが一番有名になってますので、より倒叙的な書き方に見えやすいのですが…(かなり回想シーンも多い)基本は最初は動機から最後は犯人探しになるサスペンスミステリーで…フィルムノワールの典型かなと。

探偵役に保険調査員=オプを使ってるあたりは、一ひねりされていて、このキャラ、主役のリエドンが優秀でストーリーを回していく。バート・ランカスター演じるスェードの人となりを巧みに明かしていく。

ノワールに付き物である、ファムファタール(悪女)がやはり鍵になるが…そこも王道たる展開か。更にそのキティ役にエヴァ・ガードナーがハマる。圧倒的な美しさと気怠い存在管がまた見事で出たての頃とは思えない。

何よりらせん階段のレビューでも書いたのですが…陰影の強い光と影を巧みに使う、この頃のモノクロ撮影は美しく、見事でノワールらしさを更に増してくる。

ストーリー部分で起承転結の結部分でややふわっとしてしまい、わかりづらくなり、ドタバタ終わっていくのが、やや消化不良で残念。予測の範囲は超えてないですからね(^^)

とは言え…ロバート・シオドマク監督はこの時期B級職人だったかなと思いますが…その腕、職人気質からくるエンタメ力は素晴らしい。まだまだ見ていきたいかなと思います(^^)
滝和也

滝和也