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白薔薇は咲けどのmingoのレビュー・感想・評価

白薔薇は咲けど(1937年製作の映画)
4.2
銀座の洋裁店に勤める明日子(入江たか子)は最高のドレスを爆誕させる、画面目一杯に左から右へ作り手の女性たちの顔をパンで次第に都会の夜へオーバーラップ。東郷青児風のカレンダーに孤独な夜は自宅の金魚鉢の反射がやたらと眩しく、耐えられない。それでも朝は誰にでも平等にやってくる。ひとたび外へ向けて踏み出して仕舞えばこちらのもの、るんるん気分でリンゴをスカーフで包んでホップステップジャンプ、たのしい遊園地へ。運命の人発見、すれ違いで肩でもぶつからないかしら。あらやだ、ぶつからない。どうやってもきっかけが使えないわね、諦めかけた途端リンゴを男が蹴飛ばして川へボトボトボト。中盤のボーイミーツガールシーンは無音演出でひたすら動きで見せる、はじめて行ったダンスホールより森や原っぱが好きとアピる明日子とフィアンセがいる淳介の交わらない想い。あまりに早すぎるヌーヴェルヴァーグすぎて30年代の映画とは思えないモダンさ、凄まじい。こんな監督がいたなんて2022年最大の掘り出し物。また明日子の下宿先の月食荘で車を降りた際の美しい陰影が凄まじい。光と影が美しい映画に悪い映画は無い。そして最後の「平凡な男よ、弱い男…」で薔薇が添えられた「終」の余韻よ…
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