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家族Xのtoshiのレビュー・感想・評価

家族X(2011年製作の映画)
4.2
既に崩壊し形だけの父、母、息子の3人家族。父は職場で居場所が無く、母は父と息子からは相手にされず、それがストレスとなってか食卓の配膳に寸分の狂いもない。息子は大学卒業後職に就かずフリーター。
そして徐々に母が精神的に病んでいく・・・。

悪い言い方だと地味な作品。でも良い言い方をすればものすごくリアル。
映画という娯楽を意識し過ぎたらこんなにもリアルにならなかったと思います。南果歩さん演じる母(路子)がゆっくりゆっくりと精神的におかしくなっていきます。でも父も息子も気付きません。二人も普通を装っても実は余裕が無かったんだと思います。
個人的には滑稽だけど秀逸だと思ったラストが特に印象に残りました。

長廻しと手ぶれバリバリな映像もよかったですし、出演者に近づいて撮っている為周りの風景が分かり辛いのですが、たまにちょっと引き目に撮る事で異常な状況である事を知らされるのもGOODでした。

監督は今泉力哉監督のサッドティーに出演されているのを先ほど知りました。どの役の人だったんだろう・・・。
今作が吉田監督の得意な世界観ならば他作も鑑賞してみたいと思いました。

【余談】
2年程前に転職した元部下の女性が南果歩さんに似ていて、南果歩さんを見るとその元部下を思い出します。
彼女が新人の時、大人しいけどセンスのある子だなと思いエンジニアを育成する目的も兼ねて高スキルを求められる客先に提案し契約いただきました。配属後はかなり苦労していましたが、仕事に悩んだ時に来る相談メールが長文だけど兎に角分かり易かったです。同様な状況で来るメールって相談というよりも辛い、キツイ内容を兎に角書きまくり、相談事を書いてもいなければ、どうしたいのか?どうしてもらいたいのか?も大体書かれていません。こちらから「もう頑張らなくていいよ」という言葉を待っている事が殆どです。
でもその女性社員は違いました。状況、自分の行動、どうしたいのか?
どうしてほしいのか?をちゃんと書いていました。
1年後には他の客先に異動となり活躍しましたが、その更に1年後転職。既に上司ではない私のところにもちゃんと挨拶に来ました。
メールだけではなく、言動も自然で素直で彼女を見る度に「きっと親御さんが大事に一生懸命育てたんだろうな」と勝手に思った事もありました。
因みにご両親は私と同い年で、それを聞いた時一人気楽に生きている自分が恥ずかしくなりましたw
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