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シャイニングのhorahukiのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.3
雪が多すぎて冬季休業する展望ホテルの管理人をすることになった主人公一家。ホテルで過ごすうちに、次第に夫のジャックが狂気に取り憑かれていく話。

作品の根底にあるのは、父親そして夫としての責任の重圧、特に仕事に対してのそれですね。ジャックは教師を辞め、作家として活動しています。そして収入を確保するためにホテルの冬季管理人になります。でも、春までの仕事なので、なんとしてでも作家として新作で成功しないといけない。そんな重圧を心に抱えているわけです。書かないといけない。でもプレッシャーが大きすぎて手につかない。そんな現状にイライラするといった心境なんでしょうね。そして、そんなプレッシャーで押しつぶされそうな弱った心にホテルの魔がとり憑き、入り込まれます。そして、グレィディの言葉により、ジャックの中での「仕事」がすり替わっていきます。

こういう流れなので、幽霊は実在してるのか、それとも閉鎖的な環境と過度なプレッシャーがジャックの心を壊したのかという解釈の余地が一応ありますが、おそらく前者でしょうね。ドアを開けたシーンの説明がつきませんし、奥さんも見てますし。そして、変貌する演技は、さすがのジャックニコルソンです!めちゃくちゃ怖い。

そして、幽霊は基本的に存在しているだけで、こちらから隙を見せなければ何もしないというのも面白いです。ジャックは隙を見せてしまったんですね。心的ストレスもそうですし、酒を求めたことが1つのきっかけになったんだろうなと思います。

ただ、シャイニングの扱いが若干雑でしたね。原作では重要な役割がありますが、本作のように改変するならシャイニングは省いても良かったような気がします。それでも、ダニーを通して不穏なホテルの雰囲気を盛り上げていくという役割はあるのですが。あと、最後の写真はどう解釈すれば良いのかわかりませんでしたし、写真以外にもわからないことが多いですね。すごく難解な映画です。
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