ぺろ

流離の岸のぺろのレビュー・感想・評価

流離の岸(1956年製作の映画)
3.4
ヴェーラにて。新藤兼人が監督・脚本のなんだか妙なメロドラマ。北原三枝がすっとして瑞々しく美しい。幼少時から頑固で封建主義的価値観の外側にいる…そんな彼女が初めて出会う年上の男が三國。どう考えてもロクなことにはならないのである。

実際、三國にはある秘密があり、その上で主人公に言い寄るのでキッショ…と思って見ていたが、その秘密を知りながらやたらと主人公に兄をプッシュしてくる三國の妹(主人公の友人)が全然何考えてるかわかんなくてキッッッショ………。あと、主人公の継父である金子信雄、こいつ絶対なんかやらかすやろ…と思って警戒していたが、後半は没落貴族のようになりよくわからないことを遠い目でつぶやくのも面白かった。

どうも時間配分がおかしいのか、本題がはっきり見えてくるのが後半で、なんだかよくわからない。封建主義に抗い、自由な結婚と恋愛に身を捧ぐことができる時代、とはまだ建前で男の都合に振り回され、どこか軽蔑していた母と同じ轍を踏んでいく…という流れなので、どうも後味が悪い。血のつながらない兄との関係と、母を交えて三人で話をするシーンが印象に残る。山口の古い町並みもとても美しいね。
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