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カムイ外伝のnorisのレビュー・感想・評価

カムイ外伝(2009年製作の映画)
3.6
崔洋一が最後に撮った映画である。チープなVFXと弛緩したワイヤーアクション編集で滅法評判が悪いのだが、松山ケンイチのカムイは、白土三平が激賞した通り悪くなかったと思う(砂浜であそこまで走り込むのは大変だったはずだ)。刀を逆手に持つ忍者の殺陣も物珍しくて良かった。過剰な演出はいささかの郷愁とともに「劇画」を再現する意図があったのではないかと思われる。

しかしまあ「スガルの島」編の実写映画化としては、瀬戸内海があんなに荒れ、トロピカルになってしまうのはいかにもおかしい。はるか遠くの南国にしか見えないので、追い忍がしつこいのも不自然に見えてしまう。佐藤浩市がオリジナルキャラとして狂ったお屋形様を演じているのはなかなか悪くなかったのだが、小雪のスガルは動きが良くない。

全体には、原作の狂気と無常感に到底及ぶものではなかった。崔洋一はハードルを上げすぎたと思う。
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