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医学生 ガザへ行くのganaiのレビュー・感想・評価

医学生 ガザへ行く(2022年製作の映画)
4.0
2018年卒業論文のテーマに「天井のない監獄」パレスチナ/ガザ地区を選んだ医師医学生リッカルドが 3月から9月の期間研修医として過ごした日々を捉えたドキュメンタリー。

最初は比較的穏やかなヨルダン川西岸地区からパレスチナに入国し、その後やけに厳重なゲートを抜けてガザ地区に入るところで尋常ではない様子が伺える。

とはいえこの頃は2024年3月の現在に比べるとまだマシな状況で、現地の医学生やホストファミリーの兄弟達と夢を語り合ったり若者らしい交流が微笑ましい。

ただ、そんな日常も突然訪れるイスラエルからの攻撃に破られ彼らの夢が本当に危ういものである事を思い知らされる。

リッカルドが滞在した時期は「帰還の行進」と呼ばれる抗議活動と重なっており、イスラエルとの境界にある隔離壁に向かってデモや投石で抗議するガザ市民をイ兵は容赦無く銃撃し多数の重症者が病院に運び込まれ、そんな患者達と向き合ううちにリッカルドも次第に外科医師としての自覚を持つようになる。

リッカルドは正規の医師になり今も紛争地で救急外科医として勤務しているそうだが、その後ガザ地区はイスラエルによる攻撃が激化し病院や救急車も攻撃目標にされている。

何かと2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの越境攻撃を機に紛争が始まったかのように言う者もいるが、それ以前からガザ市民がどのような目に遭ってきたか知るためにも多くの人に見て欲しい。
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