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めまいのYYamadaのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.6
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
めまい (1958)
◆サスペンスの要素:
・調査対象者の自殺原因の解明

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・刑事ジョン・ファーガソンは、逃走犯の追撃中に、自らの責任で同僚を転落死させたことにショックを受け、高所恐怖症に陥り、警察を退職する。
・ある日、ジョンの前に旧友のエルスターが現れ、曾祖母の亡霊にとり憑かれ、不審な行動を繰り返しているという妻マデリンの素行調査の依頼を受ける。ジョンはマデリンの尾行を開始するが、彼の見ている前でマデリンは入水自殺を図り…。

〈見処〉
①唯一無二の「めまいショット」技法。
 ヒッチコック監督による傑作サスペンス
・『めまい』(原題: Vertigo)は、1958年に製作されたサスペンス映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、出演はジェームズ・ステュアートとキム・ノヴァク。
・恒例のヒッチコックのカメオ出演は、造船所の前を通り過ぎる通行人として登場。
・本作はサンフランシスコを舞台に、ジョンの悪夢やヒロインの真実の告白など、練り上げられた演出とストーリーが特徴的な作品。公開当時は女性蔑視の描写が批判され、ヒッチコック自身もヒロインのキム・ノヴァクとの軋轢から「失敗作」と評価していたが、近年ではヒッチコック作品の最高傑作の一つと評価を高め、2012年に英国映画協会が発表した『世界の批評家が選ぶ偉大な映画50選』の第1位にも選ばれている。
・本作によるヒッチコックの演出のうち、鐘楼のシーンで導入された、床が落ちるような撮影技法「めまいショット」はスピルバーグの『E.T.』などに、被写体にレンズを向けたまま被写体の周りを回る撮影法はブライアン・デ・パルマの『キャリー』など、後年の作品に影響を与えている。
・また、本作は公開から60年以上経過した作品であるが、1996年のリマスターにて色鮮やかに修復され、現在サブスクリプションなどで鑑賞出来る映像は非常に鮮明。クラシック映画に抵抗がある人の鑑賞ハードルを下げている。

②結び…本作の見処は?
○: 中盤まで、サスペンスなのかホラーなのか、作品の帰着ポイントが不明瞭な展開をみせる、大変興味深いストーリー構成。
○: 有名な「めまいショット」やサイケデリック調の悪夢の演出など、現在に通ずる映像技法が垣間見れる。映画演出を学んでおられる方の必見作品だと思います。
×: 事件の全容が比較的早いタイミングで披露されるが、残りの尺の鑑賞モチベーションを急速に減速させるほど、主人公の独り善がりが目立つ。
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