いち麦

パレードのいち麦のレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.0
打ち捨てられて廃墟となった遊園地、超広角レンズで捉えたシャックのようなアキラの書斎など、温かみのある映像の質感が滲みるようにとても良い。大切な人を失った者には思い残しを果たすことのできる有り難く魅力的な世界を見せてくれているように思える。“この先”の世界へ旅立つ以外にも違う“道”が示されていたのも興味深かった。
でも、物語には不満に感じる点も。あの特別な場所では意外な出会いや因縁の出会いもあったのでは?…タイトルに沿って彼処での様々な出会いを中心に見せて欲しかった。震災で生き別れた息子を探す物語から入っていながら有りがちな映画作りの物語(正直またこれかと思ってしまった)へ抜けていく軽薄な展開には幻滅。しかも終盤で全開になるマイケル(リリー・フランキー)の年甲斐もない感傷的な思いや美奈子(長澤まさみ)へのアキラ(坂口健太郎)の感情吐露が自分には少々気持ち悪く感じられた。マイケルがどうやって良君を見つけたのかは是非とも知りたかった。そして何故か渋谷ユーロスペースとはっきり分かる映画館…。
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