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パレードのcharoのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
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最初の俯瞰ショットからの、
物語の始まり方、吸い込まれた。


もう使われていないであろう場所に、
見えないものたちの居場所がある。
一点に気持ちが行き着いて宿って、
それだけでもう最高を感じてしまった。


死者となり、この世に姿はなくとも、
生きている記憶は、ずっとここにはある。
どちらの側からも愛を感じる映画だったし、
“映画が好き“って気持ちもたくさん伝わってきて、
私も映画好きで良かったなと改めて…


各キャラクターの部屋の作り込み、
本部屋の置き方や色合いの構成、
映画部屋のポスターや使ってる照明、
主人公のポツンとした家具の配置と壁の質感、


昔は賑わっていたであろう遊園地での、
観覧車や射的小屋も存在感を残しつつ、
それぞれが寄せ集めしたであろう椅子や、
オシャレなライトなど半野外インテリアからは、
いまの生活を楽しんでるけど切なさも感じられて…


それに対して生きている人たちの生活は、
より鮮明でリアルに見えるのも心打たれた。


そうした要素が混ざり合ってより、
冷たさ、暖かさ、記憶、愛情、気持ち、
言葉では言い表せない儚さが伝わってきた。


“ものに宿る“という意味で、
それぞれの存在を光で表現してて好きでした。


最後には、彼らの未来、いろんな気持ちが、
ユーロスペースへと向かっていく、
映画好きにとって、最高の映画でした。


(キャスト陣の演技はもちろん、
藤井監督の映像の見応えもやはり抜群。
綾野剛さんの友情出演豪華すぎ。)
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