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旅芸人の記録のHarutoMのレビュー・感想・評価

旅芸人の記録(1975年製作の映画)
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まあとにかく人物関係が分かりにくいわな。誰が誰の兄弟で、この二人似てるけどどっちが、、とかやってる間に爆撃が起こったり人が撃たれたり強姦されたりする。

でも整理すると意外と筋は見えてくる。エレクトラとオレステスの二人は姉弟なんだけど、一座の劇では恋人役(になるはずだった)。色々あってアイギストスって男がエレクトラと恋人役を演じることになるんだけど、この男が彼女の母と不倫してる。しかもこいつの密告のせいでエレクトラの父親が処刑されてしまう。完全に悪役はアイギストスと母親です。
その後オレステスが放った銃弾によって父の復讐は果たされんだけど、反体制ゲリラに属していたオレステスは最終的に死刑宣告を受け命を落とす。エレクトラは悲しみに打ちひしがれながら、劇の中で恋人役に向ける台詞「おはよう、タソス!」と兄の遺体に呼びかける。

この愛憎劇をギリシャ史の濁流の中でしかも神話や劇中劇の内容とも関連付けて見せるから私としては分かりにくい映画。勿論、褒め言葉。

日本は割と戦勝国として歴史を歩んできたし、独自の思想が成熟していたからなんだろうか。ここまで色々な外国思想に振り回されて分断された国の史劇は見ててびっくりすることが多い。
(20240322)
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