ぶみ

オーメン:ザ・ファーストのぶみのレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
3.5
目撃せよ、「悪魔の子」の誕生を。

アルカシャ・スティーブンソン監督、ネル・タイガー・フリー主演によるホラーで、1976年製作、リチャード・ドナー監督『オーメン』の前日譚。
悪魔の子「ダミアン」の誕生が迫る中、不可解な連続死に巻き込まれる修道女の姿を描く。
本作品のベースとなる『オーメン』については、有名作品であることから、そのタイトルやダミアンについては耳にしたことがあるものの、恥ずかしながら観たことはなく、予備知識がほぼない状態での鑑賞。
主人公となる修道女マーガレットをフリー、ローマの司祭をビル・ナイ、マーガレットが派遣された孤児院の院長をソニア・ブラガが演じているほか、ラルフ・アイネソン、チャールズ・ダンス、ニコール・ソラス等が登場。
物語は、二人の神父が語り合うシーンでスタート、ここでも不穏な出来事が起こるのだが、次には、修道女になるためにアメリカからローマへやってきたマーガレットが、ナイ演じる司祭とともに孤児院を訪れる展開となり、そこからは、しばらく彼女の研修風景ごあったり、ルームメイトに誘われディスコに繰り出したりと、ここだけを見ると、マーガレットの成長物語のような雰囲気を醸し出している。
しかし、オーメンの名を冠している本作品において、そんな内容が続くはずもなく、ディスコの一夜を過ごしてからは、不穏な出来事の連続であり、加えて、修道院に「悪い子の部屋」があったり、はたまた分娩室があったりと、もはや悪い予感しかしないシチュエーションばかり。
ただ、本作品をジャンル分けするならばホラーとなるのだろうが、所謂ホラー的な演出はそこまで多くなく、オリジナルもそうなのかもしれないが、反キリスト派の存在や悪魔が物語の鍵を握っており、どちらかと言えば、ゴシック調のオカルトものといった印象が強い。
クルマ好きの視点からすると、前述のマーガレットが空港に到着したシーンを筆頭に、70年代の街並みの再現が素晴らしく、よくもまあ、懐かしいクルマを揃えたなと感心するばかり。
そんな中、とあるシーンで、明らかなモザイク処理がかかるのだが、そのあからさま加減が出来の悪いAVのようであったのは残念だったところで、もう少しどうにかならなかったのかと感じた次第。
冒頭と終盤では別人のようなマーガレットを熱演したフリーを筆頭に、ベテランのナイやブラガといったキャスティングも素晴らしく、オリジナルを知らなくとも楽しめる仕上がりになっているとともに、できるならば6月6日に全世界一斉公開して欲しかった一作。

逃げても罪は消えない。
ぶみ

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