パイルD3

オーメン:ザ・ファーストのパイルD3のレビュー・感想・評価

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)
4.0
666と007は誰もが知っている3桁の数字で、この符号は無敵、そして不滅…

オーメンがドラマとしてよく出来ているところは、悪魔の子が人間界で堂々と生活していて、正体の秘密に近づく者たちに、次々と不吉な出来事が襲いかかるという、確実に忍び寄る悪魔による恐怖の見せ方。
この前日譚となる新作も、なかなか不吉だ…

【オーメン:ザ•ファースト】
 
アメリカとイタリアの合作というのが、やや気掛かりだったが、脇役にビル•ナイとソニア•ブラガ、チャールズ•ダンスそしてラルフ•アイネソンといった演技派の名前が並んでいて、これは密度があるヤツだと確信した。

仮に密度が無くても、この面々をホラー映画で見られるならそれはそれで楽しみだ。

先日、あまりもの出来の悪さにガッカリした「エクソシスト」のリブート版「エクソシスト信じる者」が、3部作の予定がいきなり制作ストップになり、監督のデヴィッド•ゴードン•グリーンが降板になったと報じられたばかりで、今度は「オーメン」のリブート、当然警戒してしまったのだが…

ところが!
これはリブートと言うよりも、完全オリジナルの前日譚で、リチャード•ドナー監督の「オーメン」(76)へのジョイントの仕方も無理がなく、不気味なトーンの先の読めない展開には思わず見入ってしまった。
見せ方も上手いが、ストーリーが予想以上の完成度である。

パリの社会革命の余波で、街中がキナくさいローマの修道院を舞台にして、教会そのものに2通りの筋道を仕立てたところが興趣がある。
そこへアメリカからやってきた若い修道女の研修生が、いつしか魔界の入り口に立たされて、忍び寄る魔手と幻覚の異界へと巻き込まれていく…

ドナー監督版へのリスペクトと思われる見せ場や描写が点在していて、ドラマの巧みなギミックになっているあたり、監督の手腕が冴え渡っている



【シリーズ化??】

王道のシリーズ3作のリメイクは不要だし、
無理くりのシリーズ化はしなくてもいいが、
もしシリーズ化されるとしたら、もう1人の◯◯が主人公になって、スピンオフになると思われます。
そうなると無理筋ではなくなり、今作はそんな余幅を持たせたストーリーになっています。
もし制作されるなら、アルカシャ•スティーブンソン監督と、共同脚本のティム•スミス、キース•トーマスのままなら続編も見たいです。

美貌の演技派ネル•タイガー•フリーも続投でお願いしたいです(初めて見るイギリスの女優さんでしたが、これで一気にスターになれるに違いないインパクトです)
 
ひとつだけ、ん?というのがありまして、
悪魔の実像みたいなのが、「ローズマリーの赤ちゃん」風にチラチラ出るのですが、アレは無くても、観客に勝手にイメージさせといた方が怖さが膨らむと思いました。


★メチャクチャいいタイミングで
ジェリー•ゴールドスミスの原版の主題曲
♪「アヴェ•サターニ Ave Satani」が
鳴り響いてすっかり興奮させられる
なんなら、泣きそうだったゾ
パイルD3

パイルD3