メタ壱

残灰にのメタ壱のレビュー・感想・評価

残灰に(2024年製作の映画)
3.3
サウジアラビアのとある女子中学校で火災が発生し、一人の生徒が倉庫に閉じ込められたまま亡くなった。
校長は彼女をイジメていた3人組が犯人ではないかと勘繰るが…という実際に起きた出来事を基にしたフィクション作品。

サウジアラビアの作品という事で、もしかしたらシンプルにイジメ問題を扱った作品なのかもしれないけれど、イスラムの厳しい戒律の描写につい目がいってしまいます。

あれ?でも待てよ。

最初はイスラムの教えによる女子中学校での厳しい戒律に理不尽さを感じていたけれど、日本の学校にも理不尽な校則なんていっぱいあります。
イスラム教ではヒジャーブ(スカーフ)なのが日本ではスカートの丈なだけだったり。

サウジアラビアも日本も大して変わりません。

そして火事の時に生徒を助けるため警備員が学校の門の鍵を開けようとするシーン。
一人の男が「火事だからってヒジャーブを巻いていない女を外に出してはいけない!」なんて信じられない事を言っていてこれはさすがにクレイジーだと思ったけれど、そういえば日本でも相撲中に倒れた人を助けようと女性が土俵に入ろうとしたら「女性は土俵に入ってはいけない!」と止められたっていうクレイジーな出来事がありました。

サウジアラビアも日本も大して変わりません。

そして本筋のイジメや学校の体質なども日本のそれと変わりません。

日本人はイスラム教の厳しい戒律を理解できないなんてよく言いますが、社会にある問題の根源は宗教なんて関係なく、もっと人間の本質の部分にあるんじゃないかと思いました。

国や文化や宗教が違っても、人間の本質は何も変わらないのかもしれません。

本作には、厳しく抑えつけられると必ずその反動が返ってくるというメッセージも含まれているように見えますが、それもやっぱり万国共通だなと思います。
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