ロングショットによる圧倒的な映像美と、パワフルなメッセージ。
幻想が現実になる恐ろしさは、巨匠からの警告にも感じられる。
冒頭は見たことがあるバーのシーン、タル・ベーラの世界にいることを実感する。どのショットも美しかったが、トラクターがやってきて光と影がゆっくりとスライドしていくシーンは素晴らしかった。
主人公は、天文学が好きなヤノーシュ。ある日町にサーカスが来たことをきっかけに、人々の調和が徐々に崩れていくというストーリー。
大衆を扇動するには実態なんて必要なく、恐れや不安があれば足りる。物言わず人々を静観する、横たわったクジラの目が印象的。
映像に集中するあまりストーリーの示唆するものの理解には到底至らなかったため、また鑑賞したい。