ゾロ

RHEINGOLD ラインゴールドのゾロのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
3.5
なかなか、インパクトある実話よね
強盗して禁錮刑をくらったため
獄中でレコーディングした
そのCDがヒットして出所後、
ドイツで有名な音楽プロデューサーになる

しかし
冒頭、"事実に着想を得た物語"の表示

そうなると、何処までが事実だ?と
色眼鏡で見てしまう…

最後に流れる歌詞は、映像化された
エピソードがフラッシュバックしマッチする
それほど過剰な脚色でも無いのかな?



物語は2010年シリアから始まる
ジワ・ハジャビ(後のカター・主人公)は
拷問を受け、金歯を抜かれる
拷問者は、問う

 『金塊は、どこにやった?』

抜群の掴みで始まると…

1979年のイラン、両親の話に変わる
有名な作曲家の父は指揮者として
テヘラン出身のクルド人の母親は奏者として
演奏中に、ホメイニ派の襲撃を受ける
イスラム原理主義を掲げる彼等は
「娯楽は許されない
 家に帰ってコーランを読め」と
言いながら銃を乱射した

この混乱は生き延びたが、夫妻は戦士として
闘うことになり、その戦闘の最中ジワを産む

その後一家は拘束された
ジワの最初の記憶、刑務所…である

父が高名な作曲家であることが判明して
赤十字の助けでヨーロッパに亡命出来た

ここから、ジワの物語が始まる…


もうちょっと、考えて行動しろよ…と
言いたくなるが、最初の記憶が刑務所
移民という立場、故郷が無いクルド人
死との距離感が圧倒的に違う彼の気持ちを
理解するのは難しい

また、人を傷つける時点で
イスラム原理主義を凶弾したくなるが
彼等の考え方や原因の元を
後の現代社会に影響を与えた戦争を
知っていなくてはいけない

イギリスに始まる石油利権へのアメリカの介入
資本主義社会と貧富の差が起こすクーデター
親から反となる米英関係と国交断絶
国際的経済制裁
イラン・イラク戦争(イラクへの武器供与)
湾岸戦争
9.11
イラク戦争


もう一つ、オランダのマフィアが言っていた
トルコ人とクルド人は店に入れるな
アルメニア人もだ

トルコ主義、民族主義への社会問題だが
イスラム主義やトルコへの批判の裏で
トラブルの起爆剤という陰謀や
欧州と中東(アジア)への線引きという侮蔑を
感じて…なーんか、嫌な感じになった
ゾロ

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