ユーライ

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突のユーライのレビュー・感想・評価

3.5
TVシリーズ未見。異様に長い総集編アバンからして劇場版っぽさはあまり無く、ファンディスクといった趣き。『ULTRAMAN』をベースにして『vsビオランテ』と『ガメラ3』をフリカケる田口監督の趣味性が炸裂している。ハズしギャグは全体的にスベっているが、ファーストショットで台所に立つ父の後ろ姿を映すのは端正。評判通りパトレイバーフォロワーなお仕事ドラマとして見栄えは良いけど、結局上辺だけでやっていることはいつもと変わらない。リアリティラインを上げるだけお約束が許容出来なくなる。懐事情が偲ばれるロケの安さ。怪獣襲来してんのに道路で車が平然と走行。目玉である国会議事堂、この作劇なら破壊しちゃ駄目だろう。SKaRDが代表する大人の論理の象徴として登場するのだから、ディストラクションのカタルシスに設定するのはおかしい。どうせ登場させるなら、多少なりとも中の人を出さないと空虚なだけだ。父と子のドラマにも不満がある。パワハラカマしてる親父を目撃DQNだけじゃ動機として弱い。彼らなりに懸命でも子供目線だと歪曲して伝わるすれ違いにしても具体がもっとあるでしょう。子供の論理と大人の論理をガチンコに相克させてくれないと面白くない。挙句の果てにはよく分からん理屈で勝手に暴走する八百長、無気力試合……。二組の父子同士が有機的に絡んでない。何となく対立して何となく和解。大人はなんぼでもナメていいよ。子供はナメないでほしい。「俺達は頼りないかも知れない。だけどもう少しだけ信じてくれないか」つまるところ、こういう境地まで引っ張れないから議事堂壊したりしちゃう。製作陣が大人(社会)を信じられてない。まーそれも仕方ないかも知れんけど、子供向けがその及び腰じゃマズいと思います。その辺突き詰めると『天気の子』になるからなぁ……。でも俺はそれが観たいんだよなぁ……。
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