ノラネコの呑んで観るシネマ

陰陽師0のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
4.3
久しぶりの佐藤嗣麻子は、ラノベちっくな平安幻想ファンタジー。
山崎賢人演じる若き日の安倍晴明ホームズが、染谷将太の源博雅ワトソンと、陰陽寮で起こった殺人事件の謎に挑む。
そう言えば同じ夢枕獏原作の「空海」では、染谷将太がホームズだった。
物語的には染谷将太と奈緒のやんごとなき切ない恋の話と、陰陽師たちの欲望塗れの醜い権力争いが、文字通りに陰と陽のツートラックのドラマとなってコントラストを形づくる。
二つの世界をファンタジックに描写される精神世界と、超常の力を持つ晴明が結びつける構図。
演技の質を含めたキャラクター造形が非常に現代的で、奈緒の周りに常にお花が散りばめられていたり、全体的にラノベ的世界観でまとめられているのが印象的。
主役2人の馴れ合いキャラクターもいい感じで、小説は面白いのに映画はガッカリが多い夢枕獏原作では、かなり成功した作品だと思う。
それにしても、山崎賢人は明治の北海道から古代中国、雅なる平安の日本まで、ずーっと戦ってるな。
これはこれで彼にしか出来ないことだと思うけど、たまには「劇場」で演じたような、やさぐれたダメ人間の役も見たい。