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晩春 4Kデジタル修復版のomdのネタバレレビュー・内容・結末

晩春 4Kデジタル修復版(1949年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

観るのは確か3回目。ファザコン娘が親離れするまでの話、と雑にまとめてしまいたくなるけど、それだけだと言い足りない気もする。

この父娘はたった2人っきりの家族なわけで、どちらかが結婚すれば、その時点でこの家族はすっかり消滅してしまう。そういう意味では2人は一心同体の存在なのだとも言える。娘が体を壊していた時期があって、青春時代を父と共に過ごしたというのも、そうした親密な関係の背景になっている。だから、娘にとっては父が全てで、父からどうしても離れ難いということになるのだと思う。

ラスト近くまでは娘の方の思いがずっと強くて、それに対して父はずっと平常運転のように見えて物足りなさを感じてしまう。しかし実は、父も相当強い愛情を娘に対して持っていたみたいだ。それでも一世一代の嘘をついて、身を切るように娘を送り出した父の孤独な姿が痛々しい。ファザコン映画じゃなくて、家族の静かな崩壊を描いた映画なのだと思う。
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