タイピストの時子は社長の息子に大きなルビーの指輪を貰うが、そういう目的なら要らないと言った。襄ニはボクサー崩れで時子と悪の世界に染まっている。ボクシングジムの新人宏は襄ニに憧れていて、仲間に入れてくれと頼んだ。ある日宏の姉和子が襄ニを訪ねてくる。
▶︎小津安二郎のサイレント映画で和製ギャング映画。暗黒街で生きる時子や襄ニらだが、具体的にどんな悪事をしているのか描かれていないのがまた奥深さを感じる。
ギャング映画と言いつつも描かれているのは基本襄ニと時子のラブストーリーで、時子がみせた駆け引きが少々ウザいが(笑)可愛らしく、"与太者" "ずべ公"と自らを称し和子と比べるのがいじらしい。
ボルサリーノやオーバーサイズのトレンチコートを始めとする衣装やバンド演奏のジャズがスタイリッシュさを演出し、小津監督の幅広さを改めて認識した。
戦前の文化的豊かさの溢れる空気も一緒に味わえた作品。
WOWOWの小津安二郎生誕120年記念特集にて鑑賞。