kuu

ナックルガールのkuuのレビュー・感想・評価

ナックルガール(2023年製作の映画)
2.7
『ナックルガール』
製作年 2023年。上映時間 107分。
『今際の国のアリス』の三吉彩花が、拳ひとつで命を懸けた戦いに身を投じていく女性ボクサーを演じた本格アクション。
韓国の同名人気ウェブコミックを原作に、チャン監督がメガホンをとった日韓共同制作作品。
蘭の最大の敵となる犯罪組織の男・二階堂役で伊藤英明、二階堂のボスとなる白石役で窪塚洋介、蘭に協力する元恋人の神谷役で前田公輝、同じく蘭の協力者になるハッカーの成瀬役で細田佳央太、妹・柚希役で南琴奈らが共演。 
Amazon Prime Videoで2023年11月2日から配信。

将来を有望視される女性ボクサーの橘蘭(たちばな・らん)は、ある日突然、唯一の家族である大切な妹・柚希が行方知らずになったことを知る。
警察から妹が自殺したという連絡を受けた蘭だったが、そのことを信じることができず、独自に調査を開始。 
やがて蘭は柚希が事件に巻き込まれたことを知り、事件の裏に謎の犯罪組織の存在が見え隠れしていることに気づいた蘭は、妹を救出するため大切なグローブを外し、ナックルダスターを武器にたった一人で裏社会に踏み込んでいく。

今作品は一見すると邦画のアクション映画のようやけど、実際は、日韓合作で、監督は『ターゲット』(日本では公開はないんかな?)などですでに典型的なジャンルの作品を作る手腕を発揮してるそうなチャン監督がメガホンを取っている。
今作品はウェブトゥーンを原作としており、ネット上では、映画化が原作を正当に評価していないという否定的な意見もあるようです。
しかし、中立的な立場から見ても、ってか原作は読んでませんし厳密には中立は無理やけど、映画版には別の困難もある。
たとえば、登場人物の中には、今作品の感情を揺さぶるポテンシャルを持ちながら、結局は平板なままである人物もいれば、B級映画に出てきそうな悪役もいる。
実際、90年代に低予算で作られた映画を思わせるような場面もある。
しかし、アマゾン・プライムの作品は、希にカミソリのようにシャープな映像と演技で圧倒される作品がある。
今作品がそれやとは云わないまでも、悪くないバランスを取ってはいると思う。
ただ、B級映画を見ているような印象を与えるのは、プロットといくつかの唐突な挿入。
ステレオタイプな悪役たちも、映画を洗練されたものに見せるのに役立っていないのは確か。
例えば、プロットの素人っぽさ。
少なくとも、原作のおかげで、『ナックル・ガール』には、ヒロインが違法なストリート・ファイトに出場して妹を解放しようとするちゅう基本プロットしかないアクション映画からは想像できないようなプロットがたくさんあるはす。
このプロットのちょっとしたオマケが、女性ボクサーの典型的なストーリーとは一線を画している。
悪徳のポリ(警察)に関するちょっとした小ネタは驚くには値しないが、ケージでの対決に加え、成瀬と従順な刑事がクラブに潜入することは、おそらく想像できない。
まるで映画のプロデューサーが、戦いだけでは陳腐になりすぎることを知っていたかのよう。
これが新鮮で、妹探しも冒頭のナイスなアイデアと相まって、なかなかいい。
したがって、今作品は常にステレオタイプを使うか避けるかの間で揺れ動いている。
これは、いくつかの奇妙な決定にもつながる。 例えば、対決のはずの後、映画はさらに30分も続くことに気づく。
残念なことに、実際のフィナーレはかなり拍子抜けした。
その上、結末もかなり唐突に思える。
チャン監督としては、2時間という長尺を避けたかったんやろ。
今作品は優れた編集と巧みなカメラアングルによって、ほとんどの人の試合をまともに見せることができたとしても、訓練された目には、遅くともトレーニングシーンのシャドーボクシングで、ボクシングの心得があるかどうかがわかる。
三吉彩花は自分の役に全力投球してはいる。
だからこそ、彼女との試合があまり見られないのが残念だ。
あと、野郎2人は、時にはヤクザの全軍団を相手に乱闘騒ぎを起こし、彼女から見せ場を奪ってしまうことさえある。
檻の中での戦いだけが期待していたものを見せてくれたかな。
振り付けはもう少し独創的でもよかったかもしれないが、一撃一撃にインパクトがないことはない。
登場人物はせいぜい二次元的で、たとえ彼らが物語を動かしていたとしても、彼らの生死はあまり気にならない。
結局のところ、今作品はこのジャンルのファンにしか勧められないアクション映画かな。
もう少し戦いが多く、カメラの揺れが少なければ、アクションファンをさらに満足させることができたのは間違いない。
kuu

kuu