千年女優

眠りの地の千年女優のレビュー・感想・評価

眠りの地(2023年製作の映画)
3.5
1995年。南部で活躍する黒人弁護士で、人口割合から陪審員に黒人が多い土壌を活かして活躍するウィリー・ゲイリー。財政難に陥る葬儀場経営者ジェレマイア・オキーフの依頼で大手ローウェン・グループとの訴訟を引き受けた彼が、始めは報酬目当てながら数多くの同胞が眠る歴史背景を知って使命感に目覚める様を描いた法廷ドラマです。

実際にミシシッピで行われた民事訴訟を取り上げたジョナサン・ハーのノンフィクションを原案に、Amazonスタジオがドキュメンタリーや短編でキャリアを積み重ねたマギー・ベッツを抜擢して制作した作品で、配信が開始されると主演で製作も兼ねるジェイミー・フォックスとトミー・リー・ジョーンズとのアンサンブルが称賛されました。

実際の出来事をベースにしていても型破りな弁護士キャラを活かして殊更深刻にはせず、それでも最後には使命感に目覚める娯楽法廷物語の基本を忠実に守ります。弁論には少々強引さを感じるところはあって史実としても議論は残りますが、アメリカにおける黒人の歴史を掘り下げて深みを演出し、主演ふたりの相性も申し分のない一作です。
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