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異人たちのblackkazoomaのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
アンドリュー・ヘイ監督作は初鑑賞ですが素晴らしかった。
鑑賞後、しばらく作品のことが胸に残ってる感じ

映画版『異人たちとの夏』のリメイクというより、山田太一の小説版の再映画化という印象。

物語の設定やプロットはヘイ監督のパーソナルな部分を反映する形にアレンジされているみたい。
大林宣彦版は未見ですが、『異人たち』単体で観ても素晴らしい作品になっていると思います。

たぶんセリフのあるキャストは主要の4人だけだと思いますが、4人とも素晴らしかった。ポール・メスカルは『アフターサン』に続き「ちょっと寂しげ」な表情がハマってたし、クレア・フォイは前に観た『蜘蛛の巣を払う女』とまったく違うキャラとビジュアルでビックリ。

ロンドンの自宅、ハリーといるシーンの幻想的でスタイリッシュな映像と実家で両親といるシーンの柔らかな映像の対比も良かった。

劇中で使われてる音楽もフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、ペットショップ・ボーイズ、ブラー(『アフターサン』に続き)と昭和のオジサンには懐かしい曲が使われてて胸キュン
特にFGTHの"The Power of Love"は訳詞とPVをチェックしてからご覧になると、より作品を楽しめるんじゃないでしょうか。

主人公がクィアという設定もとても重要な変更点で作品のテーマの根幹と言っても良いくらい物語に深みを持たせてますね。
私はヘテロですが、そんなの関係なくアダムの孤独や疎外感に共感したし、両親との再会、和解、別れに心を動かされた。

寂しさ、諦め、後悔、喜び、悲しみ、驚き、安堵 様々な感情が交錯するのでした~


◆ややネタバレ↓












問題はラスト!
ファミレスシーンに感動し、油断しててその後の展開にビックリしすぎて状況を掴めないまま終わてしまったw
もう一回観ようかな?

いろんな捉え方があるラストだなと。

ある意味、性別、性志向どころか「生きてるか死んでるか」は重要ではないという事なのかと。


◆雑記
・ポール・メスカルが出演してるという事もありますが、「イギリス作品」、「記憶の中の親より年上の状態で親を想う」、「80'UKポップス」、「自死」、「同性愛」から『アフターサン』と共通する部分が多いなと感じました。
ただ、今作の方は明らかに鑑賞後感がポジティブですね。
・ポール・メスカルはやっぱり巧い。『グラディエーターⅡ』ももちろん楽しみですが、『ナイスガイズ!』のライアン・ゴズリングのようなバカっぽい役もみてみたい!
・親父と抱き合うシーンとファミレスシーンは ま、泣くわな。
・風間杜夫が苦手で観てなかったけど、大林版『異人たちとの夏』も観ないとな。
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