猫目

異人たちの猫目のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.8
オリジナル「異人たちとの夏」のイギリスリメイク版。物語の大枠は同じですが、お盆を通して死者との出会いをノスタルジックに描いた日本版に対して、こちらは両親との再会を通して、今までの孤独と喪失感を愛で埋めていくお話になっていました。主人公のセクシュアリティを改変し、主人公アダムは同性愛者で40歳の脚本家の設定。監督のパーソナルな事象を作品に落とし込んだのかな。 


【ネタバレあり】

12歳の時に両親を亡くし喪失感を埋められないまま生きてきたアダム(アンドリュー・スコット)。28年振りに再会する両親に自分の性的指向を打ち明け、両親の戸惑いを受けながらも40歳になった彼自身を見て「誇りに思う」と言われて愛情で満たされる表情を観て、日本のように言わなくてもわかるだろうという空気を読む美学もあるけれど、言葉にして伝えないといけないことってあるよねって改めて気づかされました。「(子育ての)大変さを楽しめば良かった」母が後悔を口にするシーンでも自分に当てはまり過ぎちゃって涙が止まらず😢この場面は子育てについてだけど、生きているとハードな場面にぶち当たることはいつでもあるし、人によって何でも取って変えることができる。
同時期に出会うミステリアスな青年ハリー(ポール・メスカル)。この二人が同じ同性愛者でも世代間でギャップがある様が時代をよく表していました。アダムが使いづらい「クィア」という呼称がハリーには当たり前だったりね。二人が親密になる時にちゃんと同意を得ているのも見事なブラッシュアップでしたね。この二人の切なさは、何だろう?と不思議に思っていましたが、ラスト(私の勝手な考察)、序盤から既に…だったのかなぁ…。
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