ペコ

異人たちのペコのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.4
静かで美しく、深宇宙を覗き込むような孤独感。

ポールメスカルが演じていることもあるけど、在りし日の家族との交流ということでアフターサンとの共通項も感じる本作。
でもアフターサンと異なり、もし本当に亡き両親と対話する事が叶ったとして、それは今の自分の孤独感をより強く浮き彫りにしてしまうのではないか。。
そしてタイトルとなる異人たち、そのまた一つの意味が分かる時、深い深い孤独の宇宙に吸い込まれていくような感覚が。

また、全編通じて映像が幻想的で美しく、写真という意味でのフィルムのよう。
被写界深度が浅く、少し奥の人物の顔が分かるか分からないかという微妙なバランスで撮られているシーンも多く、これはホラー映画等で多用される表現ではあるけど、本作には非常にマッチしています。(エレベーター内の合わせ鏡で、自己のピントはどこに合っているのか?その曖昧さを表わすようなカットも)

自身もゲイである事を公言しているアンドリュースコットの、当事者でしか表現出来ないと思わせる程繊細な演技。両親の前では本当に12歳の少年の頃に戻ったかのようで素晴らしい。
個人的には割と両親目線で観てしまいました。子供が抱える孤独と向き合えないまま自分がいなくなってしまったらどうしよう?一言ごめんと言う為だけにでも化けて出たいかもしれない…
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