千年女優

アメリカン・フィクションの千年女優のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.5
大学で教鞭を振るう黒人小説家で、作品が文壇では評価されるもセールスは今一つで出版社から「黒人らしくない」と否定されたモンク。大学から与えられた休暇で母の認知症や弟の同性愛でわだかまりを抱える家族と再会した彼が、犯罪者を装ってギャングスタ小説を執筆すると意に反して世間の関心を得ていく様を描くコメディドラマです。

NetflixやHBOのドラマシリーズで実績を残したコード・ジェファーソンがパーシバル・エベレットの小説を原案に現代風のアレンジを施して制作した2023年公開の作品で、黒人の物語が過酷さや哀れみの観点でしか評価されないことを皮肉った物語が批評家から絶賛を集めると初の監督作品にして2024年のアカデミー賞で脚色賞を受賞しました。

アメリカらしいコメディを通して「新しいものの観方」を提示する機智ある物語で、喜怒哀楽を豊かに表現するジェフリー・ライトの演技に乗せられてワクワクさせます。進んでみると物語として詰込み過ぎの感はあって期待した爆発的なところまでは至りませんが、「マイノリティ」に対して人が持ちがちなバイアスを多面的に描く一作です。
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