いつもいっちゃん

アメリカン・フィクションのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
5.0
本年度アカデミー賞作品賞含む5部門ノミネート。
日本では配信スルー、、、
これは映画館で味わいたかった。
めちゃくちゃ面白いし、かなり好み!

売れないインテリ黒人小説家がヤケクソで書いた黒人らしさバリバリの小説がまさかの大ヒット。
小説の内容は黒人のギャングの犯罪モノ。
ドラッグにラップ、イケイケな作風に黒人らしいと白人達は大喜びで映画化まで即決。
複雑な気持ちの彼は周囲の関係に悩みながらも打ち明けるか役を演じるかで彷徨う。
出版業界や賞レースに対する皮肉が効いたブラックコメディ。
そこに加え、人間模様にドラマに笑いつつじんわり温かい。
アルツハイマーに突入した母と支える家政婦、ゲイを打ち明け自分らしく生き始めた弟。
全てが絡まりつつ愛おしい。
黒人のステレオタイプの物語を好む様から、人は簡単なものを好むという流れが見えてくる。またさらに作者側が読者を見下している姿勢までもが見えてくる。
作品は誰のためにあるのか。
温かい人間模様がありつつシニカルをラストまで貫く面白さ。
この作品にある空気感もずっと観ていられるし、ジャズテイストなスコアもカッコいいし好み。
中々日本で売るのには厳しい作品であるのは分かりましたが傑作ですよ。

スターリング・K・ブラウンは出番こそ少ないけどかなり良かった。