アメリカン・フィクション 2023年作品
7.5/10
American Fiction
コード・ジェファーソン監督脚本
ジェフリー・ライト トレイシー・エリス・ロス
ジョン・オーティス エリカ・アレクサンダー
レスリー・アガムズ アダム・ブロディ キース・デヴィッド
イッサ･レイ スターリング・K・ブラウン
主人公は作家。白人主体の出版業界において、黒人文学は黒人のおかれた貧しい環境と
犯罪、警察の酷い扱いというステレオタイプに当てはめて認識されていた。
主人公はそうした所謂黒人文学ではなく、より文学的な作品を志向してきたが、そういう
作品よりも、世間では分かりやすい安直な黒人文学がもてはやされていた。
主人公はわざとそういう作品を冗談で書いて出版社に持ち込んだら、トントン拍子に
出版や、映像化が進んでしまうというコメディ。
ドラマ「ウォッチメン」の脚本家であるジェファーソンの長編初監督作。
ドラマ「ウォッチメン」はスーパーヒーローと黒人問題を絡めただけで、
作品として感心したものではなかったというか、本作の主人公で嫌うような作品
みたいだったが、本作はずっと洗練されていて監督の進化を観た思いがする。
アカデミー賞の関連作としても｢それでも夜は明ける｣のような単純な黒人の差別、
奴隷制等々を描いた作品
から｢TAR/ター｣のようにポリコレマウント上位で権威として君臨した人物が、
Me tooというポリコレにつぶされていく様を描いていて、
ポリコレの向こう側に配慮がされる世の中になってきていると思う。
ふり戻しがあり正常化してきていると。
そういう中で、黒人差別から脱却してより高い芸術を目指そうとする主人公と、
白人の贖罪意識に迎合して、出自を生かしてポリコレで金もうけする人物の
提示はとても良かった。おすすめ。
