『ミッドナイトスワン』の内田英治が監督・原案・脚本に、山田涼介、浜辺美波のダブル主演の陣容。主演の2人は熱演で好感。浜辺さんは、某怪獣映画の残念脚本では、ただの「飾り」として配置されただけだったが、今回は、盲目の人物を良く演じていた。
他方で、まず、企画に無理やり感がある。タイトル先行か、山田さんを「話せない」設定にしたが、人物像と合致せず。すべて「音」を起点に描きたかったのだろうが、人気俳優をキャスティングしたせいか、振り切れてない。『ミッドナイトスワン』は、トランスジェンダーという社会的テーマを内包していて、必要以上に「綺麗に」描かないところが良かったが、今回は、反社問題や格差問題は、ただの恋愛映画のアイテムにしかなっておらず、正面から描かれず。結果、みえない女性と話せないイケメンの普通の物語になっていた。山田さんが、いつでも髪がセットされていて、事務所的に許されないのか、せっかくの熱演が帳消しになる演出だった。「話せない」という設定は「声を聞かれてはいけない」といった設定にすることで、恋愛映画として面白くなったかもと感じつつ。まあ、一時期の韓国ドラマのように奇跡ばかり起きなくて、そこは良かった（笑）
2024年2月11日＠MOVIX京都
