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雪山の絆のtorumanのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.9
ウルグアイの学生ラグビー選手団を乗せた飛行機が墜落、生存者は雪のアンデス山中に取り残された…
何度か映像化された有名な実話。
スピルバーグ制作の映画化『生きてこそ』も話題になりました。

『生きてこそ』では、冒頭から飛行機事故の描写になりますが、こちらではチームメイトをじっくりと描いており、その後の運命の残酷さがより鮮明になっています。

飛行機事故の凄まじい描写
音響も相まって自分が搭乗しているような臨場感。
何処かに掴まりたくなる恐ろしさでした。

山の風景が素晴らしい
監督のJ・A・バヨナは、ホラーテイストの作品を撮るのが得意な監督。
事故の様子や過酷な自然を俯瞰で撮る神の目線の描写、夜の山の凛とした神秘的な映像の美しさが、より強烈な絶望感を生んでいます。

事故での即死、寒さによる凍死、飢えによる餓死、チームの仲間、家族が次々に亡くなっていく。
その中での究極の選択。
ここでは、センセーショナルに描かず、生き抜くための必要な手段としての描写に好感が持てます。

そして、極限状況での生き抜く力、根底にあるのはチームの仲間との絆。
静かに力強く訴えて、シンプルに感動します。
『生きてこそ』とは違う主人公、その行末の違いも印象的でした。

今まで描かれてきた作品の中でも、最上の出来になっています。
お薦めです。
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