千年女優

カサンドロ リング上のドラァグクイーンの千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
80年代後半。テキサス州の母子家庭に生まれたメキシコ移民の子で、現在は国境を隔てたメキシコにてルチャドールとして活動するサウール・アルメンダリス。同性愛者であるために同業者や観客から蔑まれる彼が、その状況を逆手にとって派手な衣装に身を包むエキソティコのレスラー「カサンドロ」として活躍する様を描いた伝記映画です。

NWAの世界ウェルター級やUWAの世界ライト級でチャンピオンになったことで知られる実在する人気レスラーの生い立ちを、アカデミー賞短編ドキュメンタリー映画賞を受賞したロジャー・ロス・ウィリアムズの監督で映画化した作品で、サンダンス映画祭のプレミア上映で好評を集めるとPrimeVideoでの公開後も批評家から賛辞を集めました。

配信作品らしくニッチな題材を逃さず、ルチャリブレという男性社会で同性愛者が偽ることなく自分を確立していく様を丹念に描きます。主演ガエル・ガルシアが華奢でレスラーとしての説得力には欠ける所はありますが、単にマイノリティな面だけを表層的に捉えるのではなく家族や移民を含めてその「人」を真摯に掘り下げている一作です。
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