未曾有の大災害で甚大な被害を受けたソウルの街で、一棟だけ形を留めたマンション。
そこのマンション内に住む住人と、助けを求めてそこに集う居住外の生存者との争いを描いている。
極限の環境下に陥ることで、(普通)の人々の理性が少しずつ壊れていってしまう。
この窮地に明るい未来はあるのか…。
集団の上に立つ使命感が、徐々に独裁心へと変貌をとげ狂気と化す、マンション内のリーダー、イ・ビョンホン。
善と悪の揺れ動く心情に心が疲弊していく、夫婦の旦那さんを演じるパク・ソジュン。
夫とは違い、全編通して他者を思いやる心を持つ妻をパク・ボヨン。この作品での微かな「光」となっている。
しかし、その「善」の精神が良い方向にいくとは限らないのが悩ましい。
主要3人の演技が凄いのと同時に、他の演者の方も総じて素晴らしく、改めて役者陣の上手さと韓国映画の娯楽性の高さを感じました。
また、能登半島地震直後の鑑賞だったのでエンタメとして純粋には楽しめず、見ていて辛くなってしまう場面描写がいくつかありました。
いつ我が身に起こるか分からない災害時に正常な考えや行動が出来るだろか。
この作品を通じて深く考えさせられました。